2. 写真で物件を広々と見せるには -構図・フレーミング-

物件の写真、どこから撮る?

物件の写真を撮影するときには、とにかくお部屋を広く見せたいですよね。プロのカメラマンが物件を撮影するときは広角レンズ(広い範囲を撮れるレンズ)を使って、お部屋全体を広々と描くのですが、スマートフォンのカメラはとにかく画角が狭いのが難点です。そこで、少しでも広く撮影するために部屋のコーナーから対角線上に撮影するのが基本となります。

対角線を意識して撮影することで奥行と立体感を表現できる

もしも部屋のコーナーからでも部屋全体を写せない場合は、廊下や隣の部屋、時にはクローゼットの中に入り、少しでも距離を稼いで撮るのも一つの方法です。

画角の狭いスマートフォンの撮影では、どれだけ後ろに下がって広範囲を写すことができるかがポイント

スマートフォンカメラの短所を克服しよう

先にも述べましたが、物件撮影はなるべく広々と見せることが理想ですから、写真は横長の構図で撮るのが基本です。しかし、画角の狭いスマートフォンのカメラではどうしても中途半端な構図になりがちです。

そこで、一般的な物件撮影の常識とは逆になりますが、横に広々と見せるのは諦めて縦長の構図で撮ることもオススメします。こうすることで中途半端に入り込んだ窓や扉を整理し、上下に天井と床を入れることで広さを表現することも可能です。また、縦構図にすると物件に据え付けられている照明器具の様子もフレームの中に入れ込むことができるため、物件での生活をイメージしやすくなります。

また、奥行きを感じさせるために手前に別の要素を配置するのもテクニックとして有効です。また、冒頭で紹介した広角レンズ付きのハイスペックなスマートフォンでの撮影は、たしかに画角の広い写真は取れますが、端が歪むため、adobe製Photoshopなどの画像処理ソフトで修正します。こうした処理に慣れていない場合は、広角レンズでの大きな歪みの出る撮影は避けたほうが良いかもしれません。一眼レフを使うプロカメラマンさえ、歪みを直して納品しています。

ギリギリまで下がって対角線を意識して撮影しているもののクローゼットも窓も中途半端な写り方になっている。また照明器具が少しだけ見えているのもすっきりしない。
いろいろ入れようと欲張らず、窓を主体に縦位置で撮影。床と天井が良い塩梅に入っていて、広さを感じさせることができる
手前に別の要素を入れ込むことで奥行きを表現

カメラを構える高さの基本は目の高さ!

カメラの目線は、いわばそこに住まう人の目線です。天井の高いお部屋であれば立った姿勢で目の高さにカメラを構えて撮影しましょう。一般的な天井高のお部屋であれば、椅子に座った時の目線で撮ると自然な雰囲気に撮ることができます。

撮影は水平と垂直を意識して

物件をすっきりと見せるためには、写真の中の縦の線と横の線の水平、垂直が正確に出ていることがポイントになります。そのためにはカメラを床から垂直に構えて撮影する必要があります。スマートフォンのカメラでは、メニューからグリッド(縦横の格子状のガイド線)を出すことで、水平と垂直を意識しやすくなります。

柱や壁などの縦線やその他の横線がグリッドと同じ角度になるように撮影すれば水平を出しやすい

ただ、実は水平垂直をきちんと出すのは非常に難しい作業で、プロでも非常に神経を使うところですので、あまり神経質になりすぎるといつまでたっても撮影できない、なんてことになりかねません。そこで、後からトリミングで傾きを修正することも有効です。その場合は、トリミング時に縦横の目安となる柱、床、什器の縁などを被写体に入れておきましょう。有料のアプリで撮影画面に水平計を出してくれるようなものもあります。

写真のアプリはProCam。有料ですが非常に高機能です。水平計を出しながら正確に撮影することが可能となっています。

無料のレタッチソフトでも角度の調整などはできるものがたくさんありますから、本当にシビアな部分は後処理に任せてしまうのも一つの方法です。

また、水平垂直を正確に、というのが基本ではありますが、そうでない写真が必ずしも悪いわけではありません。ローアングルからお部屋を見上げたり、ハイアングルから俯瞰で見下ろして撮影すると、写真にゆがみが出てきますが、これをあえて狙いとして撮影することで、逆に部屋の高さや、天井の高さを表現することにもつながります。意図に合わせて、あえて外していくことで被写体の魅力を引き出すのもテクニックの一つといえます。

ハイアングルで撮影
ローアングルから撮影

 時には引き算も有効!?

物件写真の基本は広々と気持ち良い空間を撮影することですが、トイレやお風呂、キッチンなど、比較的狭い箇所を撮影する場合、欲張って1枚に収めようとすると、写したくないものまで入ってくることが多々あります。そこで、基本とは逆に、撮影する範囲をあえて狭め、据え付けてある器具のディティールをきちんと押さえて撮影することも有効です。ディティールを撮った写真を複数枚並べることで全体を表現するのもテクニックの1つと言えます。

例えばこの写真。キッチンの雰囲気が一望できるのはよいのですが、お客様は備え付けられた設備のディティールも見たいのではないでしょうか?

このように、キッチンの細部までをしっかりと撮影することで、お客様は料理をする自分の姿を想像しやすくなり、より一層お客様の心を掴みやすくなりますね。けっして手間を惜しまず丁寧に撮影を行ってください。

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